自治体・団体の声

ワーキングホリデーのつながりを、
オンラインコミュニティで広げて育てる

自治体・団体: 岐阜県白川町

岐阜県の東南に位置する白川町は、人口7300人余りの小さな町です。都市からのアクセスはよく、JR名古屋駅からは乗り換え1回、約70分で町の入り口・JR高山線白川口に到着しますが、そのことが信じられないほど豊かな自然に恵まれています。
町の87%を山林が占め、山々の間を飛騨川、白川をはじめとする幾筋もの清流が流れる景観は、心が洗われるような美しさです。町の人たちは、この土地に深い愛情を持っているだけでなく、地元を元気にするための努力をいといません。人口減少や高齢化としっかり向き合い、新たに人々を呼び込むためのさまざまな活動に取り組んでいます。

取り組みの一つとして、確かな手応えを感じているのが「ふるさとワーキングホリデー」です。実際に、移住者の獲得と関係人口*の創出につながりました。移住希望者に対しては、移住のハードルを下げる効果があったと、白川町企画課企画係の鈴村さんは話します。また、関係人口の広がりは、ワーキングホリデー参加者や町内外の若者が運営する「オンラインコミュニティ」による効果が大きいといいます。

*関係人口:移住した人の「定住人口」や観光に訪れた人の「交流人口」ではなく、地域や、地域の人々と多様に関わる人の数。地域外の人が、地域と継続的なつながりを持つことにより、地域づくりの担い手となることが期待されている。

白川町のワーキングホリデーでは、他業種・多職種の受け入れ先があります。業種別にあげてみましょう。

〈農業〉 トマト栽培、有機農業、特産品「白川茶」関連
〈食品製造〉 味噌、こんにゃく、郷土料理「鶏ちゃん」の加工品
〈宿泊〉 キャンプ場やゲストハウスの施設清掃作業
〈飲食〉 「鶏ちゃん」を提供する食堂、道の駅のレストラン
〈建設〉 鉄道関連電気工事業の助務
〈介護福祉〉 老人介護施設の支援員のサポート
〈事務〉 団体の広報やPR企画運営
〈観光〉 サウナやデイキャンプ施設の運営

上記に限らず、新規受け入れ先を日々開拓中とのことですから、やはり町の人々の郷土への想いの強さと、町を活性化しようとする積極的な姿勢が伺えます。

ワーキングホリデーを最大限に活かすために、町独自の工夫や取り組みも行っています。たとえば、ワーキングホリデーの運営を町内企業の組合に委託しているため、参加者が「もう少し長く滞在して働いてみたい」と思った場合、すぐに働き先の相談に乗ることができます。また、ワーキングホリデー参加者の満足度を担保するために、受け入れ側である町内企業に対しては、「受け入れ方教育」や「企業同士の情報連携」などのワークショップを実施しています。

「今後は、ワーホリOB・OGや希望者とオンラインだけでなく、リアルな交流ができる場所や機会をつくっていきたいと思います」と鈴村さん。それは近い将来、実現しそうです。
ワーキングホリデーを入り口として、広く深い関係性が続くコミュニティーを運営していくこと、地域産業を見直すきっかけとしてもワーキングホリデーを役立てることなど、これからの目標を見据えています。