コロナ禍の夏、新しい環境での成長

小泉純佳さん(大学3年生)

  • 滞在地: 岐阜県関市
  • 体験したお仕事: レジ補佐、商品梱包、簡単な来客対応など
  • 主な交流内容: 関市観光ツアー、ワーホリ参加者交流会

今回ふるさとワーキングホリデーに参加したきっかけを教えてください

大学の先生にふるさとワーキングホリデーの制度について教えていただいたことがきっかけです。今までにも同じ大学の先輩たちがふるさとワーキングホリデーに参加しており、短い期間で良い経験が出来たと聞き、興味を持ちました。

私たちの世代は入学したときから新型コロナウイルスの影響をずっと受け続けており、3年生になった今でもやりたいことを自由に活動できない状況です。大学3年生の夏に何をするべきか考えた時に、新しい環境で2週間働くという挑戦をすることは自身の成長に繋がると思い、参加を決めました。

期間中はどんなお仕事をされましたか

関市で刃物を扱われている「協同組合岐阜関刀物会館」で働きました。料理人の方が買いに来るような専門的な包丁から、お土産にぴったりの可愛く使いやすいはさみまで、約2000点もの商品を扱うお店です。仕事内容は、レジの助や品出し、ふるさと納税品の梱包などです。今まで東京でしてきたアルバイトと似たような作業も多かったですが、取り扱う商品が刃物なので丁重に扱うよう気を付けました。

また、小中学生向けの鉛筆削り体験の指導も行いました。ワーキングホリデーの期間と学生の夏休み期間が重なったこともあり、多くの方が体験を希望してくれました。刃物を扱った経験が少ない子供たち相手に、どうやって教えたら安全に楽しく鉛筆を削ってもらえるのか、工夫をしながら指導しました。

地域ならではの魅力を教えてください

2週間という時間はあっという間でしたが、たくさんの関市の魅力を感じることができました。
その中であえて3つ魅力を挙げるとしたら、まず地元に密着した交通手段である長良川鉄道です。長良川鉄道は地元の方々が通勤や通学のために使うだけでなく、観光として楽しむこともできます。私は休日に長良川鉄道のスタンプラリーに参加し、路線を制覇しました。途中で下車して温泉に入ったり、アイスを食べたり、駅ごとの特色をそれぞれ楽しみました。また、乗車している間も、車窓から見える次々と移り変わる景色がとてもきれいで、駅から駅へと向かう時間も楽しい鉄道でした。

次に、特産物である鰻です。私は関東に住んでいるので、初めて関西の蒸さない鰻を食べて感動しました。外はパリパリと香ばしいのに、中はふっくらしていて美味しかったです。
関市の鰻は美味しいだけでなく、歴史もあります。刃物の街として知られる関市には、鎌倉時代からたくさんの刀匠たちが住んでいて、鰻は刀匠たちのスタミナ源や、商談でお客様におもてなしをするために重宝されたそうです。私が訪ねた「辻屋」も創業150年の老舗で、長らく続いてきた歴史を感じることができました。

最後に、美しく豊かな自然の景色があります。関市は西にも東にも景色が楽しめる場所があります。
例えば西には、フランスの画家であるモネが描いた絵に似ていると話題になった、通称モネの池があります。透き通った湧水で出来た池とそこをゆったりと泳ぐ魚は、写真に収めると本当に絵画のようでした。
東には、本堂前方が舞台造りで京都の清水寺に似ていることから、美濃清水と呼ばれる日龍峯寺(高澤観音)があります。高い場所にあるため見晴らしが良く、まるでジブリの映画の世界に入ったかのようでした。訪れたのは夏の真っ盛りでしたが、自然の緑に囲まれて気持ちが良かったです。

観光ではなく、滞在し働くことで、どのような体験、地域の魅力を発見しましたか

たくさんの体験をさせていただきましたが、観光ではなくワーキングホリデーだからこそ知れた魅力は、地元ならではの雰囲気の良さだと思います。ワーキングホリデーでは2週間という長めの期間を滞在した分、多くの地元の方々と交流できました。

一緒に働かせていただいた刃物会館の職員さんは繁忙期であったにも関わらず、優しく仕事を教えてくださりました。取り扱っている商品が刃物で、専門性が高いこともあり、知識が0の状態から入った私は覚えることが多かったのですが、一つひとつ丁寧に説明してくださったおかげで、短期間で仕事を覚えることができました。また、仕事に関することだけでなく、地域の歴史や観光スポット、美味しいお店など、たくさんのことを教えていただきました。2週間楽しく働くことができたのは、刃物会館の職員さんのおかげだと思います。初めての土地での、初めての仕事にとても緊張していたので、その緊張がほぐれるように気さくに話してくださったのはありがたかったです。

地元の方々が集まった交流会では、これからのキャリア形成に向けた話を聞くことができました。中には一度関を離れた後で、関の良さに気づいて戻ってきたという方もいらっしゃり、興味深かったです。現在私が大学3年生で、将来に向けて悩んでいたこともあり、これからの進路についてたくさんアドバイスをいただきました。交流会には様々な経歴を持った方が集まっており、自分の考え方が凝り固まってしまっていたことを気づかされました。また、交流会の最後には、サプライズで誕生日をお祝いしていただきました。美味しい手作りのケーキまでいただき、21歳の誕生日は今後一生忘れることはないと思います。

その他にもお世話になった滞在先の旅館の安田屋さんなど、最初から最後までとても良くしていただいて、私にとって見知らぬ土地であったにも関わらず居心地が良かったです。観光で訪れるとなると有名な観光スポットを巡るだけになってしまいがちなので、このような雰囲気の良さを感じ取れたのは、滞在して働いたからこそだと思います。