「地方創生」の大切さと課題

石川 瞳さん(大学4年生)

  • 滞在地: 佐賀県嬉野市 / 岐阜県白川村(白川郷)
  • 体験したお仕事: 夕食準備、提供の接客 / 宿泊業務のサポート
  • 主な交流内容: 山菜採りツアー

いつ、どちらに、どのくらいの期間、行かれましたか?

・2017年3月(大学2年末)に2週間:佐賀県嬉野市、旅館「和多屋別荘」での夕食準備・提供の接客
・2018年8月(大学4年夏休み)に1週間:岐阜県白川村(白川郷)、民宿「古志山」

経験してよかったことは?

大学時代はずっと東京都内で実家暮らしで自らお金を稼ぐ経験もなかったので、「ふるさとワーキングホリデー」への参加を通じて、これまでと違う暮らし、そして仕事を体験できたことは良かったです。印象的だったのは、ご近所付き合いの近さ。滞在先では「サザエさん」のようにご近所同士が何気無い会話をしたり、気軽に遊びに行き来したり、そういった光景も新鮮でした。東京では、人と人の距離が近すぎると、時に事件に発展してしまう場合があると言う人もいます。それでも近初対面の人とまず挨拶をすることでその後のコミュニケーションの雰囲気がガラリと変わったこともあり、近隣の人とのコミュニケーションや挨拶の習慣が大切だということを実感しました。

仕事や、その後のライフスタイルに影響したことはありますか?

具体的な影響ではありませんが、都内よりむしろ地方で暮らすほうが、私の性格に合っていることに気づきました。やはり、東京はどうしても人と人との間に距離がありすぎて、不自然だなと感じることがあります。その一方、街中は人が多く人口密度が高い。人混みが苦手な私にとって、特に後者の「人が多すぎること」がストレスだったことが、地方で生活して改めて分かりました。
現在は大学を卒業し、旅行会社に勤めています。受け入れ先の方、特に古志山の女将さんとは定期的にコミュニーションをとっており、会社での新事業のために「取引先になりそうな方を紹介してほしい」とご相談させていただいたことも。また、いろいろな企業のサポートをする副業もしていますが、実際に地方で働いたからこそ、地方の企業の実情を理解できることがあります。(もちろんすべての地方の企業が一概に同じ課題を抱えているわけではないのですが…)

楽しかったことは?

佐賀県嬉野市では、ツアーで山菜採りに行き、みんなでピザを焼いて食べたことがとても楽しい思い出として心に残っています。また、佐賀県の他のまちで「ふるさとワーキングホリデー」に参加する大学生たちとも交流し、休みの日に遊びに行ったりもしました。
白川郷では、女将さんの親戚の方や親しい方々と夜に食卓を囲んでお話したり、女将さんと人生について語り合ったりしていたのが、いまでも懐かしいです。

【写真】いつも女将さんがお腹いっぱい食べさせてくれました。ある日いただいた朴葉味噌で焼いた飛騨牛の焼肉は絶品でした。

驚いたことは?

私はもともと国際交流に関心があったこともあり、外国と日本の文化の違いに注目していましたが、じつは日本でも自分が住んでいるエリアから少し離れると、考え方が違うことが多々あることを学びました。それは、数日間の旅行では、感じられないと思います。ある程度長い期間住むことを経験することで得られた驚きです。実体験としては“良い驚き”だけでなく“悲しい驚き”も…。たとえば、仕事の場で、私のことを「東京からやってきた若い子」だということで、あまり快く思わない方がいたり。それは、悲しい思い出ではありますが、もしかしたら地方のコミュニティの実情のある一面を写している体験だったかもしれない、といま振り返ると思います。

「ふるさとワーキングホリデー」に興味のある方へ、メッセージ。

ここでの経験が、いまの自分をつくったとも思っています。楽しい思い出も悲しい思い出もあったからこそ、「地方創生」の大切さと課題、その両方を考えられるようになれたと思います。そのことを20代のいま、気づけたことはよかったことですし、そこで得た自分の考えを大事にしていきたいです。もしかしたら、「ふるさとワーキングホリデー」に参加した方は、楽しいだけではない悲しい現実に接することもあるかもしれません。ただ、そこで何を学ぶのかも大切で、そういう考えを持たせてくれた全ての方々に感謝しています。