馬路村は高知県の東部、徳島県との県境にあります。周囲を1000メートル級の山々に囲まれ、その山を源に清流・安田川が流れる小さな美しい村です。安田川は、アユやアメゴの宝庫。夏になると、村の大人たちは待ちかねたようにアユ釣りへ出かけ、子どもたちは川遊びに夢中になります。
そんなのどかな村ですが……馬路村のゆず製品といえば、全国にその名を知られる逸品。ポン酢しょうゆ「ゆずの村」や、ゆずはちみつ飲料「ごっくん馬路村」が、人口わずか800人の村で生産されているというのですから驚きです。
長い間、馬路村の主産業は林業でした。村の山で育つ銘木・魚梁瀬杉(ヤナセスギ)は、豊臣秀吉が大仏殿を建立する際に、「第一の良材」として選ばれたことが知られています。明治時代には国内屈指の木材産出量を誇り、西日本最大の森林鉄道も開通しました。しかし、昭和の中頃から日本の林業経営は難しくなり、馬路村も例外ではありませんでした。
そんななか、馬路村の人々は、林業に代わる産業として、地元では欠かせない食材の「ゆず」に着目しました。当初は「ゆず」そのものが全国的にはあまり知られていませんでしたが、村の人は、自然の恵みをたっぷり受けて育つ香り高いゆずに自信がありました。「馬路村産」であることを前面に打ち出したゆず製品は、独自の販売路線を展開し、やがて現在のような全国ブランドとなったのです。
馬路村は、森の可能性にもチャレンジし続けています。間伐材を利用したmonaccaの木製バッグは、ニューヨーク近代美術館のミュージアムショップにも置かれる優れたデザイン性とともに、SDGsをいち早く取り入れた製品として注目されています。また、かつて木材を運搬した森林鉄道は遊覧用として復活。乗車や運転体験をしながら森の中を走り、季節ごとに変化する景色を楽しむことができます。
こうした各種事業の相乗効果により、馬路村は多くの観光客が訪れる場所になりました。馬路温泉、樹齢200〜300年の魚梁瀬杉が林立する千本山、湖畔のキャンプ場など自然を活かした観光スポットに加え、「おしどりマラソン」「ゆずはじまる祭」などユニークなイベントが人々を引きつけます。
さて、そんな馬路村は現在、村をあげてワーキングホリデー事業に取り組んでいます。村が元気であり続けるためには、若い人の力が必要です。募集しているワーキングホリデーの職種は3つ。順に紹介しましょう。
観光客とコミュニケーションをとるなかで、接客のスキルを磨くことができます。村民の交流の場にもなっているので、馬路村での暮らしのヒントも得られるでしょう。業務はレストランホールスタッフ・厨房盛り付け補助・客室清掃です。仕事終わりには温泉に入れる特典付き。
四国で2番目に大きなダム湖である「魚梁瀬貯水池」に面したキャンプ場は、アメゴ釣りなども楽しめる人気のレジャースポットです。キャンプや自然の中で過ごすことが好きで、「薪割りをしてみたい!」といった人にとくにおすすめ。業務は受付・芝刈りや薪割り・ログハウスの清掃です。
年に一度、ゆずを収穫する11月にのみ募集します。ゆずには鋭く長いトゲがあるので、革手袋を着け、トゲやハサミで実を傷つけないように注意して、一つひとつ丁寧に収穫します。仕事をしながら、ゆず栽培のことや、ゆずによる村おこしの話を詳しく聞いてみるのもいいでしょう。
馬路村が目指しているのは「堂々たる田舎」です。村の人たちは明るくてパワフル! ゆず事業を成功させたように、これからもいろいろな道を切り拓いていくにちがいありません。あなたもそのメンバーに加わりませんか?