雪に囲まれた真っ白の世界のなか酒造で働く2週間は、あまりにも新鮮な、驚きの連続の日々でした。地元の方々からすれば「暖冬で本当の雪はこんなもんじゃない」そうですが。
千代の光酒造さんでは、30度を超える室(むろ)でお米に麹菌を振りかけたり、「落ちると酸欠になるから気をつけて」と言われた大きな釜を櫂でかき混ぜたり、"絞り"の機械から酒粕を大量に削ぎ落としたり、できあがった日本酒のアルコール度数を分析したり。本当に様々なことをやらせていただきました。日本酒業界について「職人の知恵!勘!経験!」というイメージをもっていたのですが、実際には温度や水量、発酵の日数などの厳密な管理の上に成り立っていたことが最大の学びです。社長と会長、そして社員の方々には右も左もわからない大学生を温かく受け入れてくださり、本当に感謝しかありません。それにしても酒造の朝は早かった。
滞在先は、農家民宿を営むご夫婦にホームステイのような形でお世話になりました。朝晩ともに素敵な料理を作ってくださり、夜は雪国の暮らしなどたくさんのお話をお聞きしました。家族のように迎え入れてくださり、久々に帰った実家で過ごしているような感覚すら覚えました。民宿に滞在させていただいたことで、いくばくか訪問者ではなく居住者として妙高市の暮らしを知れたんじゃないかな、と思います。さすがはラーメン激戦区、休日に連れて行ってもらったラーメン屋は全部美味しかったです。
滞在期間中に実施してくださった歓迎会や、移住体験ツアーの参加者の方との交流も貴重な時間でした。「妙高市で生まれ育った方」「妙高市に移住してきた方」「生まれは妙高で、一度東京に出たのち妙高に帰ってきた方」「妙高市への移住を考えている方」それぞれの立場から"田舎暮らし"に対するお話を聞けて、表現が正しいかはわかりませんが、率直に面白かったです。良いなと思う点、合わないなと思う点、全部込みで心から「こういう生き方もあるんだ」と、将来の選択肢が増えた気がします。
何も知らなかった街での15日間。間違いなくいつか「あのとき妙高に行ってよかった」と言える体験になりました。このような機会を用意してくださった市役所の方、千代の光酒造の方々、農家民宿のご夫婦、本当にありがとうございました。「本当の雪」が積もった頃に、また行きます。